建築 と 茶の湯 の間

桐浴邦夫(KIRISAKO Kunio)の備忘録 茶室・数寄屋・茶の湯・ヘリテージマネージャーのことなど

近代の茶室と数寄屋―茶の湯空間の伝承と展開

淡交社から2004年に出版された『近代の茶室と数寄屋―茶の湯空間の伝承と展開』が、先般の『世界で一番やさしい茶室設計 最新版 (115のキーワードで学ぶ) 』との相乗効果もあってか、ポツポツと売れているようです。
これまで近代建築(あえて近代建築と言っておこう)というと、新築で、さらには新奇な考え方や意匠に注目が集まっていましたが、本書では移築や増改築、現在でいうならリノベーションにも着目した内容が含まれています。
近年、保存再生のことが盛んに唱えられていますが、この本の出版された2004年頃では、まだまだ注目度が低かった内容です。
そして何よりも、これは現在でもそうなんですが、一般的な近代建築史の叙述のなかに、数寄屋建築が抜け落ちています。その部分に対する何か反骨心のようなものが本書をまとめる原動力にもなっていました。
現代の私の目からあらためて見てみると、もっと書きたいことがいっぱいあるし、書き改めたいと思う部分もあります。が、我ながら面白いところに着目しているなぁ、と過去の自分に感心しています。
まだの人は、もしよろしければ、手に取ってご覧ください。

近代の茶室と数寄屋―茶の湯空間の伝承と展開

近代の茶室と数寄屋―茶の湯空間の伝承と展開