建築 と 茶の湯 の間

桐浴邦夫(KIRISAKO Kunio)の備忘録 茶室・数寄屋・茶の湯・ヘリテージマネージャーのことなど

四君子苑と東華菜館の見学会

CLUBTAPの主宰する見学会の講師を務めました。行き先は四君子苑と東華菜館。
まずは京都府立文化芸術会館において、吉田五十八四君子苑についての簡単な講義を行ってから、四君子苑に参りました。今年だけで二度目の見学となりますが、今回も整備の行き届いた美しい建物と庭を拝見することができました。
私が訪れたのは午前中でしたが、午後から竹中大工道具館主催の見学会があるとのことで、担当者やその講師の今里隆さん(杉山隆建築設計事務所所長、吉田五十八の元で四君子苑を担当された)にもお目にかかることができました。今里さんからは短時間ではありましたがお話をうかがうことができました。
午後からは、昼食を兼ねて東華菜館の見学をしました。ヴォーリズ設計のこの建物は、これまでに何度か訪れたことがありますが、見れば見るほどさまざまな要素(様式)が混ざり合って、様式建築の勉強にはもってこいの建物だと感じました。
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正面の装飾はスパニッシュバロック
写真は2003年に撮影したもの

弘道館での講座

弘道館(京都市上京区)の講座で、茶室の見方についての講座を行いました。裏千家住宅を事例に引いて、空間の上下とそれをまぎらかす手法などについて、お話しして参りました。
茶の湯空間のおもしろさの一つは、空間の上下をいかに利用して平等ということを表現するか、あるいはもてなしを表現するか、ということです。これはたとえていうならば柔道のようなものです。つまり空間にはおのずと上下があるわけで、その「力」を利用して平等を表現するのです。おわかりでしょうか?

茶室の計画

京都府建築士会の伝統建築研究会の主催する茶室勉強会の講師を務めました。
タイトルは「茶室の計画」。
茶室は「美」の観点から語られることが多い建築ですが、一方で「用」すなわち計画的にも興味深い側面を持っている建築です。
茶事のことや八炉、床の間の位置など、茶室の計画的側面の基本をお話しして参りました。

数寄屋大工展

竹中大工道具館において数寄屋大工展が開催されています。
今日は、古材文化の会の皆さんと一緒に見学しました。
道具館の大村氏には大変詳しい解説をしていただきました。
感謝申し上げます。

手紙にみる千利休の建築的職能について

建築学会の大会(名古屋大学)にて、「手紙にみる千利休の建築的職能について」を発表しました。
内容は、千利休の手紙を元に、利休が具体的にどのような建築の職能を担っていたのか、ということを明らかにしようとしたものです。
具体的には大工の世話や現場管理を行ったりしていたことが、見えてきました。
詳しくはciniiにアップされると思います。(1年後くらいでしょうか?)

京都府建築士会伝統建築研究会見学

京都府建築士会で発足した伝統建築研究会の見学会で裏千家住宅を訪れました。
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じつは8/20に勉強会として予習を行いました。
そのとき裏千家の概要と主な茶室の見どころをお話ししました。
今回は私にとっても久しぶりの訪問でしたが、毎回あらたな発見があります。
幕末から維新にかけて家元であった玄々斎という方は、デザイナーであり大変なアイデアマンであったんだと再認識しました。

展覧会図録『数寄屋大工』

竹中大工道具館巡回展『数寄屋大工―美を創造する匠―』展覧会図録が出版されました
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http://www.dougukan.jp/sukiya/index.html
拙稿「数寄屋小史」「近代における数寄屋の展開と大工」が掲載されています。
以前コンフォルト100号で作製した茶の湯のダイアグラムを加筆修正したものも掲載しています。
展覧会は以下の予定です。(詳しくは上記ウェブサイトをご覧下さい)
■東京会場:Gallery A4  東京都江東区新砂1-1-1 竹中工務店東京本店1F
2012年8月20日(月)〜9月29日(土)
■神戸会場:竹中大工道具館 兵庫県神戸市中央区中山手通4-18-25
2012年10月6日(土)〜11月18日(日)
■名古屋会場:産業技術記念館特別展示室 名古屋市西区則武新町4丁目1番35号
2012年11月23日(金)〜12月28日(金)

利休と七哲

淡交社から淡交別冊no.61『利休と七哲』が出版されました。
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「好みの茶室」について執筆しています。
もっとも、それぞれの茶人の好みの茶室が現存、あるいはその資料が残っているかというと、残念ながら一部の人物を除いてありません。
そこで本稿においては、手紙や言い伝えとしての内容についても言及しています。
近年、西行庵の皆如庵が高山右近が関与したのではないかという説が浮上しています。
それを記す確実な文献や物的証拠は特にはないのですが、皆如庵の造形から見て、否定はできないと思われます。
そのことについても触れています。

大礼記念京都美術館

日本建築協会『建築と社会』2012.6号に小著「大礼記念京都美術館(現・京都市美術館)」が掲載されました。
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概要を述べると共に、ディテールに言及しています。細部意匠は日本の伝統建築からのものですが、じつはよく見ると、なかなか興味深いデザインです。フランク・ロイド・ライトを彷彿とさせる意匠が見られます。

利休の茶室とその周辺@常陽藝文センター

今日は茨城県水戸市の常陽藝文センターで、「利休の茶室とその周辺」と題してお話ししてきました。
茶室の歴史として、千利休の茶室にいたるまでの経緯を簡単に説明し、利休の代表作、待庵と大坂屋敷三畳大目(台目)について、そして利休の弟子でもある高山右近の茶室と伝えるもの(あくまでも一つの説として)について解説してきました。また建築にかかわる利休についてのイメージもお話ししました。
通り一遍の歴史の話と今回のオリジナルな話題を混ぜての講演でした。
皆さん大変熱心に聴講されていましたが、多岐にわたった内容でしたので、細部がご理解いただけたかと心配しています。
なお、高山右近の茶室に関しては近々に発行される淡交別冊『利休と七哲』に掲載されますので、ご覧下さい。