建築 と 茶の湯 の間

桐浴邦夫(KIRISAKO Kunio)の備忘録 茶室・数寄屋・茶の湯・ヘリテージマネージャーのことなど

建築学会近畿支部建築論部会コメンテーター

日本建築学会近畿支部建築論部会において開催された講演会、近藤康子氏「近代建築家の茶室論にみる茶の湯の生活空間に関する研究」のコメンテーターを務めました。
近年の建築学会においては、茶室に関しての研究発表は必ずしも多くない状況でした。じつは昭和時代、多くの建築家や建築研究者が茶室に興味を持ち、さまざまな角度から研究が行われていました。溯ると明治期の武田五一の茶室研究に行き当たるのですが、明治においてはまだまだ盛んではありませんでした。大正期に徐々に拡がりをみせますが、大きな展開は昭和になってからです。昭和における活発な研究の端緒を開いた人物が堀口捨己。近藤氏の論文は、その堀口に建築論の立場でスポットを当てた研究です。建築研究史的な視点においても将来大きな意義を持つものと思われます。今回の講演会では多くの研究者の方々が聴講され、とりわけ若い方々も多くいたように思います。再びこの分野の研究が活発になることが予兆された講演会であったと思います。