この度、擁翠亭保存会の代表に就任いたしました。
微力ではありますが、擁翠亭の維持・管理、調査・研究に尽力して参りたいと存じます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
擁翠亭保存会|太閤山荘
【趣旨及び目的】(擁翠亭保存会HPより)
「擁翠亭」は、江戸時代前期、加賀藩士で京の彫金師であった後藤勘兵衛(覚乗)の屋敷に建てられた、日本一窓の多い草庵茶室である。設計者は3代将軍徳川家光の茶の湯指南役であった小堀遠州(正一・政一)、遠州にそれを依頼したのは加賀藩主前田利常であった。この茶室には前田利常自身の好みが反映されていると考えられ、他所の茶室には見られない独自の意匠が随所に見られる。
室内には茶室の閉鎖性と茶屋のような開放感が同時に存在し、時に応じて陰から陽へと劇的に様相を変える。遠州の開放的な美意識「綺麗寂び」を体現する茶室といえよう。そのような歴史的茶室の保存・維持管理および、調査研究を進めることは、歴史的・文化的にとても重要なことである。
このたび、その「擁翠亭」を亭主宮下玄覇の私邸太閤山荘(京都市北区大宮釈迦谷10-37)に再組み立てしたことを契機に、擁翠亭保存会を立ち上げ、その貴重な茶室の維持・管理、調査・研究を主な目的とした活動を行う。日本文化の中心地たる京都において、それらの活動が、茶道文化の発展・啓蒙にも寄与することと考え、保存会が得た研究成果や情報については、希望者の請求に応じて随時提供してゆきたい。
松殿山荘 講演会
本日は、松殿山荘において、講演会が行われました。
タイトルは、「高谷宗範「茶室と庭園」をめぐって」ということで、これまでの研究の成果の一部をお話ししてきました。
研究のことだけになると、つまらないので、先般サンフランシスコで講演した近代建築における位置づけ、などもお話ししました。
こんなところからお話しを始めました。
日本建築学会 日本建築和室の世界遺産的価値特別調査委員会
日本建築学会の日本建築和室の世界遺産的価値特別調査委員会の委員に任命されました。
6月28日に第一回の委員会が行われ、出席して参りました。
www.aij.or.jp
委員会の設置目的は「・・・和室が国際的にも尊重すべき文化財として認知される状況を創出することを目的とする。」とあります。
和室は、世界的視点からみても非常に特異な形態です。一方で、近代建築、いわゆるモダニズムへの影響、あるいはモダニズムからの影響なども見られ、近代建築として、大きな役割を演じていたものでもあります。
もっとも、和室といっても、さまざまな側面があります。どのようにして「国際的にも尊重すべき文化財として認知される状況を創出する」かは、なかなか困難なことだろうと思われます。微力ながら尽力して参りたいと存じます。
日式茶室設計
小著『世界で一番やさしい茶室設計』 が台湾で出版されました。
www.books.com.tw
林書嫻という方が訳されました。
博客来(台湾のamazonのようなもの)には、私の紹介が以下のように出ていました。
少し面白い?のでpasteしておきます。
内容の紹介や「名人推薦」は何が書かれているかわかりませんが???、これだとおよそ読めました。
作者介紹
作者簡介
桐浴邦夫
1960年生於日本和歌山縣。就讀京都工藝纖維大學研究所碩士班時由中村昌生老師指導。東京大學工學博士。現職為京都建築專門學校第二部及傳統建築研究科教師及大學兼任講師。一級建築士、茶名宗邦。著書有《近代的茶室與數寄屋》(淡交社)、《近代京都研究》(合著,思文閣)、《民俗建築大事典》(合著,柏書院)、《茶之湯的銘大百科》(合著,淡文社)、《圖解木造建築事典》(合著,學藝出版社)等。論文有〈大正期的雜誌內刊載之茶室論點的走向——邁向現代主義的茶室論點研究〉、〈關於紅葉館與星岡——1880年代的數寄屋〉等。
The 3rd Ocha Zanmai International Conference
photo by Dr. Mohammad Salama, San Francisco State University
米国での国際会議で講演を行いました。
かねてよりお知らせしていましたように、5月1日、サンフランシスコ州立大学にて行われた茶の湯の国際会議「3rd Ocha Zanmai International Conference」にて、「山上宗二記と桃山の茶室」と題して特別講演を行いました。
会場には在サンフランシスコ総領事をはじめ、日本文化や茶の湯に関心のある学者の方々、当地での茶の湯の実践者など、多数の皆様のご来場がありました。
内容は、西洋近代と日本文化との関わりをプロローグとしてお話をし、その大きな源となった桃山時代の茶室について、千利休を中心に山上宗二記記載の茶室図面、洛中洛外図を参考に、スピーチいたしました。
レジュメを御覧になりたい方は、こちらから
参考ページ:k-soho.hatenablog.com
建築学会近畿支部建築論部会コメンテーター
日本建築学会近畿支部建築論部会において開催された講演会、近藤康子氏「近代建築家の茶室論にみる茶の湯の生活空間に関する研究」のコメンテーターを務めました。
近年の建築学会においては、茶室に関しての研究発表は必ずしも多くない状況でした。じつは昭和時代、多くの建築家や建築研究者が茶室に興味を持ち、さまざまな角度から研究が行われていました。溯ると明治期の武田五一の茶室研究に行き当たるのですが、明治においてはまだまだ盛んではありませんでした。大正期に徐々に拡がりをみせますが、大きな展開は昭和になってからです。昭和における活発な研究の端緒を開いた人物が堀口捨己。近藤氏の論文は、その堀口に建築論の立場でスポットを当てた研究です。建築研究史的な視点においても将来大きな意義を持つものと思われます。今回の講演会では多くの研究者の方々が聴講され、とりわけ若い方々も多くいたように思います。再びこの分野の研究が活発になることが予兆された講演会であったと思います。
再読関西近代建築「茶室建築特集号」
拙稿が『建築と社会』2016.03に掲載されました。
『建築と社会』誌、昭和10年10月号は茶室建築特集号で、これについて解説したものです。
http://www.aaj.or.jp/wp/wp-content/uploads/201603con.pdf
昭和初期において茶室への注目度は非常に高いものでした。各建築の雑誌においてこの時期、茶室や数寄屋の特集が組まれました。本稿は『建築と社会』誌における茶室特集がどのようなものであったのか、その重要な視点は何か、ということについて考察したものです。